ダイヤモンド市場に異変 「ダイヤは永遠」の時代に変化の兆し

世界の天然ダイヤモンド市場が低迷している。最大手のDe Beersは2026年7月、南アフリカ最大のダイヤモンド鉱山「ベネチア鉱山」の生産を2年間停止する方針を発表した。同鉱山は南アフリカの年間ダイヤモンド生産量の約4割を占める。

背景にあるのは、天然ダイヤモンドの需要低迷と、安価な「ラボグロウン(人工)」ダイヤモンドの急速な普及だ。欧州のダイヤモンド取引中心地であるアントワープでも、昨年の取引量は前年比22%減少した。天然ダイヤモンドの価値は2022年以降、大幅に下落している。

特に若い世代の消費行動が変化している。業界関係者によると、Z世代やミレニアル世代は、ダイヤモンドよりも色石やシルバー、旅行やフェスなどの「体験」にお金を使う傾向があるという。

一方、ラボグロウンダイヤモンドは天然石とほぼ同じ物理的特性を持ちながら、価格が大幅に安い。米国ではすでに、婚約指輪に使われるダイヤモンドの半数以上がラボグロウンになっているという。

こうした変化はダイヤモンド産業の雇用にも影響している。ベネチア鉱山では1,200人以上の雇用削減が懸念され、労働組合は強く反発している。南アフリカのダイヤモンド鉱山では、過去10年間ですでに7,000人以上の雇用が失われている。

ただし、天然ダイヤモンドが完全に「過去のもの」になったわけではない。結婚指輪などでは依然として天然石を選ぶ消費者が多く、**「天然であること」「希少性」「世代を超えて受け継ぐ価値」**を重視する層も存在する。

De Beersも、米国を中心に天然ダイヤモンドの需要が回復する兆候があるとしており、供給量の減少によって将来的な価格回復を期待している。

「ダイヤモンドは永遠」という有名なキャッチコピーが象徴してきた価値観そのものが、若い世代を中心に変わりつつある――。
天然ダイヤモンドは今、単なる宝石としてではなく、**「希少性にお金を払うのか、それとも同じ美しさをより安く手に入れるのか」**という新たな選択を迫られている。

8月26日 NOS.NL